Archive for the ‘コラム’ Category

今年は相続に関する民法改正が施行される年です! 

2019-01-11

昨年7月6日、相続に関する民法を改正法が成立しました(同年7月13日公布)。
民法のうち相続法の分野については、昭和55年以来、実質的に大きな見直しはされてきませんでしたが、今回の相続法の見直しは社会経済情勢の変化に対応すべく、残された配偶者の生活に配慮する等の観点から、配偶者の居住の権利を保護するための方策等が盛り込まれたほか、遺言の利用を促進し、相続をめぐる紛争を防止する等の観点から、自筆証書遺言の方式を緩和するなどの改正がされます。

今回の改正の施行は以下のとおりとなっており、本年から段階的に施行されます。

(1)  自筆証書遺言の方式を緩和する方策:2019年1月13日
〜自筆証書にパソコン等で作成した目録を添付したり、銀行通帳のコピーや 不動産の登記事項証明書等を目録として添付したりして遺言を作成することができるようになります。

(2)  原則的な施行期日: 2019年7月1日

(3)  配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等:2020年4月1日

 

上記のとおり、自筆遺言証書の方式緩和はもう明後日から始まります!

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最高裁が無償の相続分譲渡を「贈与」に当たるとした判決で税務面に影響が出るのか?

2018-12-03

前回、共同相続人間でされた無償の相続分譲渡が遺留分算定の基礎財産に算入すべき「贈与」に当たるとした平成30年10月19日付の最高裁判決をご紹介しましたが、今回はこの判決の税務面への影響(相続税、贈与税)について、以下のリンク先に記事を記載しましたので、どうぞごらんください!

https://www.legalawyer.jp/souzokubunjouto-zouyo-zeimu/

共同相続人間でされた無償の相続分譲渡は「贈与」に当たるとした最高裁判決

2018-11-27

今回は、平成30年10月19日に出された遺留分減殺請求事件に関する最高裁判決をご紹介致します。

この事件は、上告人が、自分以外の共同相続人間でされた無償の相続分譲渡によって遺留分を侵害されたとして、被上告人が遺産分割調停で取得した不動産の一部について遺留分減殺を原因とする持分移転登記手続等を求めたものであり、遺留分の減殺請求について、相続分譲渡が(その価額を遺留分算定の基礎となる財産額に算入すべき)「贈与」(民法1044条・903条1項)に当たるか否かが争われた事案です。

最高裁は、共同相続人間でされた無償の相続分の譲渡は、その相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、民法903条1項に規定する「贈与」に当たると判断しました。

したがって、遺留分侵害の有無を判断する際には、相続分譲渡も計算に入れて判定をすることになります。

具体的な財産ではない相続分の譲渡が贈与に当たるか否かは今まで明確ではありませんでしたが、今回の最高裁判決で明確になりました。

 

本件の事実関係は以下のとおりです。

・亡Aは亡Bの妻。
・上告人、被上告人及びCはいずれも亡Bと亡Aとの間の子。
・Dは、被上告人の妻であって、亡B及び亡Aと養子縁組をした。
・亡Bは、平成20年12月に死亡した。
・Bの法定相続人は、亡A、上告人、被上告人、C及びD。
・亡A及びDは、亡Bの遺産についての遺産分割調停手続において、遺産分割が未了の間に、被上告人に対し、各自の相続分を譲渡し、同手続から脱退した。
・亡Aは、平成22年8月、その有する全財産を被上告人に相続させる旨の公正証書遺言をした。
・亡Bの遺産につき、上告人、被上告人及びCの間において、平成22年1 2月、遺産分割調停が成立し、被上告人は土地、建物、現金及び預貯金並びにその他の財産を取得した。
・亡Aは、平成26年7月に死亡した。
・Aの法定相続人は、上告人、被上告人、C及びD。
・上告人は、平成26年11月、被上告人に対し、亡Aの相続に関して遺留分減殺請求権を行使する意思表示をした。

 

 

本件について最高裁が示した判断理由は以下のとおりです。

・共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。

・ そして、相続分の譲渡を受けた共同相続人は、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり、当該遺産分割手続等において、他の共同相続人に対し、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることができることとなる。

・ このように、相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本文)とされていることは、以上のように解することの妨げとなるものではない。

・したがって、共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、 民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。

 

〜さて、最高裁が述べるように、相続分には通常は財産性がありますので、今回の最高裁の判断については基本的に納得できるものです。

もっとも、実務上、遺産が多岐にわたる場合や遺産の範囲・評価額が不明確な場合には、実際には相続分の譲渡がされた段階では、相続分の具体的な金額が容易に特定できず、遺留分侵害の有無も容易に判断できないという場合も多いのではないかと思われます。

遺留分減殺請求権には以下のとおり行使期間に制限があるため、相続分の譲渡に関して遺留分侵害の有無の判断が微妙なときには、とりあえず遺留分の侵害があるものとして権利行使せざるを得ない場合が多くなるのではないかと思われます。

 

【参考】
民法第1042条
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

預金の相続についても民法が改正されています

2018-07-19

さて、相続分野の民法改正法が成立したことは先日書いたところです。

今回の改正では、預貯金の相続にも変更が出ております。

 

1.まず、遺言執行者の権限として、遺言の対象となっている預貯金について遺言を執行するために、原則として、預貯金の払い戻しのみならず、解約の申入れをすることができるものとされました(改正民法1014条2項)。

改正前は民法上、預貯金について遺言執行者にどこまでの権限があるのか不明確とされ、解約等の権限については否定されることがあったため、実務上は、遺言書にこの点の権限を執行者に与える条項を盛り込んで対応していたところです。

 

2.次に、預貯金債権について、遺産分割前に各相続人が単独で預金の一部について払戻しを請求する権利を認める条項を新設しました。

民法第909条の2《遺産の分割前に置ける預貯金債権の行使》

 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

※今回の民法改正の施行日前に発生した相続に関して、施行日後に預貯金債権が行使されるときにも、改正後のこの条項が適用されることになっております(改正付則5条)。

金融機関では以前から、預貯金債権について共同相続人が相続手続きをするためには、基本的に共同相続人らが(遺産分割協議を行って)共同して相続手続きをする必要があるとの取扱いをしており、しかも最近の最高裁判決によって、預貯金債権が遺産分割の対象となるものと判断されていたため、相続後速やかに相続人の一部が被相続人の葬儀費用等のために預金の払戻しをしようとしてもできない、という場面が生じていたことに対応するための改正です。

 

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相続に関する民法改正法案がついに成立しました!

2018-07-12

相続放棄の申立て

相続に関する民法改正法案がついに成立しました!

相続時の配偶者の優遇などを打ち出した、相続に関する民法改正法などが今月6日、参院本会議で可決・成立しました。

改正法の主な内容は、以下のとおり、これまでご説明してきたとおりのものです。

 

民法改正(1)自筆証書遺言を法務局に保管する制度が始まるかも

 

民法改正(2)配偶者居住権という権利が新たに認められます

 

民法改正(3)配偶者に贈与された住居は原則として持戻しが免除されます

 

さて、相続の実務に大きく影響が出ることになりますので、皆さんも改正の概要は知っておかれた方が良いと思います。

 

改正の実施時期については、平成32年(2020年)7月までに施行の予定となっているようです。

これにより、昭和55年以来、約40年ぶりに相続のルールが大きく変わることになります。

 

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遺産の一部分割(2)一部の遺産についてのみ遺産分割をした場合、残りの遺産はどう分割するのか?

2018-06-13

前回からの続きです。

 

さて、一部の遺産についてのみ遺産分割をした場合、残りの遺産はどう分割すすべきなのでしょうか?

例えば、法定相続人が被相続人の子供ABで、遺産が預金3000万円と自宅2000万円だったとすると、法定相続分は各2分の1(2500万円)となりますが、自宅の配分について意見が合わず、先に預金についてのみA2000万円・B1000万円で遺産分割(一次分割)をしたとします。

その後、自宅について遺産分割(二次分割)をするとき、どのように分割すべきなのでしょうか?

これは、一部分割の結果が法定相続分と合致していない場合に、残余財産の分配において、先の一部分割の結果を考慮して是正するのかどうか、一部分割と残余財産の分割を別個独立のものとして扱うのかどうかという問題ですが、いずれの方法もあり得ます。

 

①一部分割と残余財産の分割を別個独立のものとして、残余財産の分配時に,先の一部分割の結果を考慮せず、残余財産を法定相続分で分割する方法

→上記の例では、ABは自宅について相続分を2分の1(1000万円)ずつ持っていることになります。

 

②残余財産の分割時に、先に一部分割をした遺産も加えて遺産全体を評価して各相続人の相続分を算定したうえで、各相続人が一部分割で取得済みの遺産の額を減額して、残余財産の分配額を決める方法

→上記の例では、簡単にいうと、ABは自宅について以下の相続分を持っていることになります。

A:(2000万+3000万)÷2 −2000万=500万

B: (2000万+3000万)÷2 −1000万=1500万

※相続税について遺産が一部未分割であることを前提に申告をする場合には、こちらの②の方法で採用されています。

 

もっとも困るのは、残余財産の分割時に、どちらの方法が適用されるべきなのかが不明確な場合、つまり一部分割をした相続人らの間でどちらの方法を採用するかについて(明示又は黙示の)合意があったと認められない場合です。

このような場合には、必ずしも明確とまではいえませんが、家庭裁判所の審判では②の方法が採用される可能性が高いといえるでしょう。

とはいえ、少なくとも残余財産分割の協議や調停の時点では、相続人の一部がそんなつもりで一部分割をしたのではなかったと主張して、もめる可能性が十分あります。

そのため、一部分割の協議等をする時点で、協議書等に残余財産の分割をどうするのか(①②のどちらの方法を採用するのか)について明確にした条項を必ず盛り込んでおくべきです。

 

一部分割や遺産分割協議書の記載方法等についてお悩みの方は、当事務所にご相談ください!

遺産の一部分割(1)一部の遺産についてのみ遺産分割をすることはできるのか

2018-04-20

実務上、相続人間で意見が合わない遺産はさておき、とりあえず分割協議ができそうな遺産の一部についてのみ、相続人間で遺産分割協議をすることはよくあることです。

もっとも、これまで遺産の一部分割について民法に直接の規定はなかったのですが、相続に関して予定されている法改正により、一部分割について明文の規定が置かれる予定です。

その規定の内容は、

①共同相続人は、(被相続人が遺言で禁じた場合を除いて)いつでも協議で遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

②その協議ができないときは、家庭裁判所に対して遺産分割の請求をすることができるものとする。ただし、「遺産の一部を分割することによって他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合」については一部の分割請求ができない。

といったものになる予定です。

これまで、裁判所での審判では主に、遺産の一部について遺産分割協議が有効に成立するための要件として、1)相続人間でその一部を残りの部分から分離したうえで分割をするとの合意が存在していることを必要とするものや、2)民法が定める遺産分割の基準に照らし、遺産全体の総合的配分にそごをきたさず、残りの財産の分配によって相続人間の公平を図ることが可能であることを必要とするものがありました。

今回の改正法は、基本的には遺産の一部分割協議は共同相続人の協議によりいつでもできるものとしつつ、家庭裁判所に遺産分割の請求をするに当たっては、「遺産の一部分割が他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合」に該当しないことを要することとしたものといえるでしょう。

どういった場合に、②の「遺産の一部分割が他の共同相続人の利益を害するおそれがある」として家庭裁判所に対する遺産分割の請求が認められないことになるのか、明確には今後の裁判例の積み重ねを待つことになると思います。

次回に続きます。

 

民法改正(3)配偶者に贈与された住居は原則として持戻しが免除されます

2018-04-11

 

現在、民法の相続に関する法改正が実現する見通しとなっており、政府は既に民法改正案など関連法案について閣議決定をしております。

さて、今回の記事で紹介する改正点は、配偶者保護のための方策として「持戻し免除の意思表示の推定規定」を設けるというものです。

民法改正要綱には、「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地(第1・2に規定する配偶者居住権を含む。)について遺贈又は贈与をしたときは,民法第903条第3項の持戻し免除の意思表示があったものと推定する。」とあります。

 

さて、ここに「持戻し免除」という用語が出ていますので、説明します。

相続人のうち一部が被相続人から生計の資本等として生前贈与(特別受益)を受けていた場合には、相続の際に、その特別受益財産を相続財産に加算したうえで相続人の相続分の算定を行うことになり(特別受益財産については遺産の前渡しを受けていたものとして扱われ、相続によって取得できる財産が減少することになります。)、これを「特別受益の持戻し」といいますが、遺言でこの持戻しを行わないように免除することができるのです。

 

したがって、今回の改正では、結婚生活が20年以上の夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者に対して生前贈与や遺贈をした住居(土地、配偶者居住権を含む。)については、持戻し免除の意思表示があったものと推定される結果、原則として、生前贈与等によって配偶者が取得した住居を相続財産に持ち戻さずに相続分を計算して遺産分割をすることになるのです。

 

この改正により、残された配偶者は、贈与等を受けた住居を除いた遺産の2分の1(以上)の相続分を相続できることになり、贈与等を受けた住居を含めた遺産の2分の1(以上)の相続分を相続する現行法よりも、結果として相続によって取得できる財産が増えることになります。

たとえば、夫が自宅(評価額2000万)と預貯金3000万円を持っており、自宅については妻に生前贈与をした後に、子供一人と妻を残して亡くなった場合、遺産分割における妻の相続による取り分(自宅以外)は、原則として以下のとおりとなります。

現行法:(自宅2000万+預貯金3000万)×1/2-自宅(2000万)=預貯金500万

改正法:預貯金3000万×1/2=預貯金1500万

 

ただし、結婚生活が20年以上の夫婦について、亡くなった配偶者が他方の配偶者に対して生前贈与や遺言をしていた場合の話ですので、結婚生活が20年未満である場合や、生前贈与も遺言もしていない場合には、結局、現行法と同じく配偶者が住んでいる住居も遺産に含めて遺産分割が行われることになります。

今回の改正(持戻し免除の意思表示の推定)は、夫婦がともに生きていて、他に推定相続人がおり、自宅があるというような場合でさえあれば適用できますので、改正の影響は大きいといえるでしょう。

現在でも、夫婦間で生前贈与も遺言もしていないケースはたくさん見受けられますが、今回の改正によって、残される配偶者のために生前贈与や遺言をする理由がまた一つ増えたのではないでしょうか。

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相続が相次いで起こった場合1 数次相続(法律関係)

2018-03-26

相続が相次いで起こった場合にどうなるか、皆さんご存じでしょうか?

たとえば、最初に夫(父)が亡くなり、その遺産分割等をしないまま、母が相次いで亡くなったため、母から子供へ相続が発生したというように、相続が相次いで起こることがあり、これを数次相続といいます。

 

他方で、たとえば、母Aが死亡した時点で、先に子供Bがその子供(孫C)を残して亡くなってしまっていたというような場合、つまり被相続人が亡くなる前に本来の相続人が先に死亡していた場合には、「代襲相続」の問題となります。

この事例では、孫Cが親Bの代わりに直接、祖母Aの遺産を代襲相続することになります。

複数の人の死亡が関係してきますが、相次いで複数の相続が起こる数次相続の問題にはなりません。

間違われる方が多いところですので、ご注意を。

 

数次相続の意味と代襲相続との違いについてお分かり頂けたでしょうか?

次回以降で、数次相続の場合の法律関係、税金、登記はどうなるのかについて説明していきます。

民法改正(2)配偶者居住権という権利が新たに認められます

2018-03-13

現在、民法の相続に関する法改正が実現する見通しとなっており、政府は本日、民法改正案など関連法案について閣議決定をしたそうです。

 

その改正項目の中で主なものを順に紹介していきます。

今回は、配偶者の居住権についてです。

 

この改正案では、被相続人の居住建物に関する権利として、所有権以外に「配偶者居住権」(残された配偶者が終身あるいは一定期間、被相続人の遺産である建物に住み続けることができる権利)という権利を新たに認めています。

改正案の内容は、残された配偶者が居住していた居住建物の配偶者居住権を遺産分割等によって取得したときは、居住建物の所有権が別の相続人らが所有することになったとしても、無償で、亡くなるまで(あるいは一定期間)、その居住建物に住み続けることができるようにするというものです。

被相続人の死後に残された配偶者が遺産分割によって配偶者居住権を取得する場合以外にも、生前に、残される配偶者に対して配偶者居住権を遺贈する内容の遺言をしたり、夫婦間で死因贈与契約を締結しておくことによって、死後に配偶者が配偶者居住権を取得することができます。

 

この改正は、現行法の下では、法定相続分に従って相続人らが遺産分割をするときに、残された配偶者が自宅での生活を続けるために居住建物を相続することとした場合には他の預貯金などの遺産が十分に相続することができず(居住建物を相続するために他の相続人に代償金を支払わなければならない場合も)、生活が不安定になるといった事態が生じていたことなどを考慮し、配偶者保護のためになされたものです。

配偶者居住権の評価額(時価額)は平均余命などをもとに算出され、所有権を取得するよりも低額となるため、結果的に配偶者は従来どおり居住建物に居住しつつも、預貯金などの他の遺産を十分に相続することができることが期待されているといえます。

 

ところで、配偶者居住権の取得原因となる遺産分割については、最も中心的な方法である「遺産分割協議」や「遺産分割調停」では、成立に他の相続人との合意が必要となるわけで、改正後も、他の相続人が配偶者の居住権取得(と他の遺産の相続)を認めてくれなければ遺産分割が成立せず、その場合、配偶者居住権が認められるかどうかは、「遺産分割の審判」で裁判官の判断に委ねられることになります。

つまり、遺産分割についていえば、上記のような配偶者保護を実現することは必ずしも容易ではないと思います。

 

そのため、他の配偶者居住権の取得原因に着目して、生前に、配偶者に対して配偶者居住権を遺贈する内容の遺言(や死因贈与契約)をしておく重要性がむしろ高まっているといえるのではないかと個人的には考えています。

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