遺留分侵害額の計算で具体的相続分が控除されることが明確化されています

令和元年の民法相続法制の改正により、遺留分減殺請求権は遺留分侵害額請求権という金銭請求権に変わり、遺留分算定の基礎財産に含まれる相続人の特別受益財産について相続開始前10年間にされたものに限られることになった、というのはもう皆さんもご承知のところかもしれません。

しかし、遺留分侵害額の計算については、他にも重要な点が改正、明確化されています。

改正後の条文である民法1046条を見てみましょう。

(遺留分侵害額の請求) 

第1046条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額

二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

 

さて、この2項二号には「・・・により相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額」とありますね。

これは具体的相続分といわれるもので、法定相続分をもとに、特別受益を考慮したうえで各相続人が具体的に取得すべき相続分、を意味します(具体的相続分は寄与分も考慮した相続分を意味することがありますが、条文上ここでは寄与分については考慮されないことになっています。)。

したがって、遺留分を侵害されている額を計算するときに、その相続人の具体的相続分は差し引いて計算されることとなります(今回の改正により明確化されています)。

 

また、遺留分侵害額の計算上、「相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額」が控除されるのであって、「遺産分割によって遺留分権利者が取得した遺産の価額」が控除されるわけではありません。
遺産分割をまだしていない場合や遺産分割によって何も取得していない場合には何も控除されない、というわけでもありません。

つまり、遺留分侵害額は、実際にどのように遺産分割をするかには関係なく、また遺産分割協議が成立する前か後かにも関係なく計算されることになります。

遺留分侵害額やその請求は、基本的に遺産分割の影響を受けないということになります。

ただし、注意点もあります。

この点は、次回にご説明します。

 

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