遺産分割協議が整わないときは、以下のようになります。
遺産分割の調停
遺産分割をするため、通常まずは法定相続人らで協議(話合い)を行いますが、
協議ができなければ、通常はつぎに家庭裁判所の調停手続を行います。
調停は、裁判所の調停委員を介して相続人らの利害調整を行う、裁判所での一種の話し合いです。
相手方が欠席して調停に応じなかったり、出席しても当事者の譲歩がなければ、成立しません。
もっとも、話し合いといっても、直接相続人らが同席して話し合うのではなく、調停委員がいる調停室に相続人らが交互に入って調停委員と話をする形になるのが通常です。
相手方が出席して話し合う状況になった場合、所要期間としては6か月〜1年程度くらいを考えておくと良いかと思います。
調停が成立すれば、調停調書が作成されます。
一部の相続人が調停で決まったことをしない場合、他の相続人はこの調停調書を使って強制執行をすることができます。
遺産分割の審判
調停が成立しなければ、家庭裁判所の審判手続に移行します。審判手続では裁判と同じく、当事者それぞれが主張立証を行った後、裁判官が最終的に審判書(判決書のようなものです。)で判断を下すことになります。
必要に応じて尋問がなされることもあります。
ただし、審判手続に移行した後でも改めて話し合いの場がもうけけられ、調停が成立することがあります。
家庭裁判所の審判に不服がある場合は、2週間以内に高等裁判所に抗告し、改めて裁判官の判断を求めることになります。
審判が確定すれば、審判書にもとづいて強制執行をすることができるようになります。
※審判となれば、赤の他人である裁判官が遺産分割の内容を一方的に判断することになりますので、裁判と同じく、準備書面や証拠を提出し、万全を尽くす必要がありますが、それでも相続人にとって思いがけない結果になる可能性もないわけではありません。
そういう意味では、審判になる前の段階で、調停が成立するように努力した方がよい場合があります。その辺りの見極めが重要です。