《民法の相続法制の改正》 配偶者居住権の創設 (2)

前回に続き、配偶者居住権に関する記事です。


・最初に、配偶者居住権がどのような場合に成立するのか、ご説明します。

配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合に、
1)遺産分割(協議・調停・審判)によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、
2)配偶者居住権が配偶者に遺贈されたとき、
3)被相続人と配偶者との間に、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があったときのいずれかに該当したとき、
配偶者居住権を取得することになります。

ただし、 被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合には、配偶者居住権は成立しませんので、ご注意ください。
〜予め建物の名義を確認しておきましょう!

 

なお、遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、
(ア) 共同相続人間に配偶者の配偶者居住権取得について合意が成立しているとき、
(イ) 配偶者が取得を申し出て、居住建物の取得者の不利益を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき、
のいずれかに該当するときに限り、配偶者居住権の審判をすることができます。

 

・次に、配偶者居住権の効果について、ご説明します。

配偶者は居住していた建物(居住建物)の「全部」について、無償で使用及び収益をすることができるようになります。

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身(生きている間)となります。
ただし、遺産分割協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において定めたときは、その定めるところによります。

 

・注意点です。

配偶者居住権については、以下の点には留意しておきましょう。

● 配偶者居住権は、譲渡することができません。

● 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をしたり、第三者に居住建物の使用・収益をさせることができません。

● 配偶者居住権に基づいて無償で使用、収益をするに当たっては、できることや守らなくてはいけないこと(権利、義務)などについて、法律で細かな規定が色々と定められています。インターネットや本で調べるか、専門家に聞いて確認するようにしてください。

 

 

配偶者居住権について、大体のことが分かってもらえたでしょうか?

 

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