生活保護を受けている推定相続人に遺留分以下しか相続させない遺言をする場合に注意すべき点

遺言書押印の写真

前々回、前回の記事との関連で、本日は、生活保護者と遺言との関係について、お話ししましょう。

 

まず、推定相続人の中に生活保護者がいるときに、遺言で生活保護者以外の相続人に相続財産を全て相続させるようなことはできるでしょうか?

たとえば、生活保護者が、遺言者の兄弟姉妹のように、遺留分を有しない推定相続人なのであれば、遺言で生活保護者以外の方に相続財産を全て相続させても、生活保護との関係では問題は生じないでしょう。

 

他方で、生活保護者が遺言者の配偶者、子供(孫)、親(祖父母)などで、遺留分(民法上最低限保証されている取り分)を持つ相続人に該当する場合には、遺言があったために相続によって遺留分を取得することができなかったのであれば、他の相続人等に対して遺留分侵害額請求権という金銭の請求権を取得することになります。

遺留分侵害額請求権も財産ですから、生活保護者である相続人がこれを行使せずにいる、あるいは放棄することもまた、やはり生活保護との関係で問題となる場合があるでしょう(福祉担当者、役所がそのことを知れば)。

そのため、生活保護との関係では、原則として生活保護者は相続人に対して遺留分侵害額請求権を行使せざるを得ないという考え方になりそうです。

遺言をするに当たって、浪費などがたたって生活保護に至っているような相続人には相続をさせないといった判断をすることもあるかと思いますが、後に生活保護者から遺留分侵害請求がなされる可能性が高いことにご注意ください。

 

次に、別のケースで、故人の推定相続人ではない生活保護者に対してプラスとなる財産を遺贈する内容の遺言をした場合に、生活保護者が遺贈を放棄することはできるでしょうか?

この点につきましてても、これまでご説明したところからお分かりかと思いますが、やはり生活保護との関係で問題が起こり得る場合があり(福祉担当者、役所がそのことを知れば)、基本的には遺贈を放棄できないという考え方になりそうです。

 

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