相続税の申告について
相続税の申告は、「相続または遺贈により取得した財産(被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含みます。)」と「相続時精算課税の適用を受けた贈与財産」の合計額が、「基礎控除額(※)」を超える場合に必要となります。基礎控除額を超えないのであれば、納税はもちろん、申告も必要ありません。
(※)基礎控除額
平成27年1月1日以後の相続:3000万円+法定相続人の数×600万円
それ以前の相続:5000万円+法定相続人の数×1000万円
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。なお、この期限が土曜、日曜、祝日にあたるときは、これらの日の翌日が期限となります。
申告期限まで10か月あるといっても、相続財産の調査や評価、相続人らによる遺産分割協議には時間がかかりますので、申告期限ぎりぎりになって相続税の申告をすることになるケースはたくさんありますので、余裕をもって早めに専門家に相談する必要があります。
また、納税もこの申告期限内に行うことになっており、期限内に申告さえしておけばよいというわけではありませんので、ご注意ください。
なお、申告先は、亡くなった被相続人の住所地の税務署であり、それぞれの相続人の住所地の税務署ではありませんので、ご注意ください。
所得税の準確定申告も忘れずに
被相続人が亡くなって相続が開始したあと忘れがちなのが、被相続人の所得税の準確定申告です。
年の中途で死亡した被相続人の所得税について、相続人が(被相続人に代わって)、1月1日から死亡した日までの所得金額と税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
これを準確定申告といいます。
生前、被相続人が毎年の確定申告をする必要がなかったのであれば、準確定申告も必要ないのが通常ですが、払いすぎている税金の還付を受けるために必要であれば、すすんで準確定申告をすることも考えられます。
贈与について
- 被相続人が行った生前贈与について、贈与を受けた人が贈与税の申告、納付をしていなかった場合には、被相続人の死亡、相続をきっかけとして生前贈与が調査され、贈与税の納付まで必要となるのではないかが問題となります。
贈与税の申告期限(財産を取得した年の翌年2月1日から3月15日まで)から6年(不正の行為がある場合には7年)が経過していれば、時効(除斥期間経過)になっているので、贈与税の納付をする必要はありません。
もし経過していなければ、進んで贈与税の申告、納付をすることも考えなければなりません。贈与税だけでなく、無申告加算税や延滞税も納付することになります。
- 相続開始前3年以内の贈与は、基本的に相続税の計算に取り込まれて再計算されます。
まず、相続などにより財産を取得した人が、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるとき、その人の相続税の課税価格に贈与財産の贈与時の価額を加算して相続税額を計算します。贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算するので、贈与税の基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年の贈与財産も加算します。
次に、加算された贈与財産に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の額から減額されます。
- また、生前贈与に相続時精算課税制度(原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度)を利用していた場合も同様に、その贈与財産を相続財産に含めて相続税額を計算し、その贈与財産に対応する贈与税の額を減額することになります。
相続税や贈与税のことが分かる弁護士に依頼するメリット
当事務所の弁護士は税理士でもあり、国税不服審判所に勤務したこともあります。
国税不服審判所というのは、税務署や国税局などから分離された別個の機関として、納税者に対して行われた相続税、贈与税その他の国税の処分に対する審査請求について裁決(処分を取り消すのか、変更するのか、審査請求を棄却するのかの判断)を行い、正当な納税者の権利利益を救済する国税庁の特別機関です。
当事務所では、相続税、贈与税などの税金にも配慮しながら相続手続きを進めることができます。税の申告等の進め方や、税理士の選び方などについて、助言することもできます。
相続税、贈与税などの税金についてあまり知らない弁護士に依頼をするのが不安だ、税金のこともきちんと配慮して相続手続きをしてくれる弁護士に依頼したい、とのことでしたらぜひ当事務所にご依頼ください。