遺言書がある場合でも、一般的には、自分の権利を譲渡、放棄することは自由であるため、法定相続人や受遺者が全員同意できるのであれば、改めて遺言書と異なる内容の遺産分割をすることは可能とされています。
ただし、遺言執行者がいる場合には、注意が必要となります。
「遺言執行者がある場合」(※遺言書で執行者として指定を受けた者が「就任を承諾する前」もこれに含まれます。)には、相続人は相続財産の処分その他遺言執行を妨げる行為ができないとされていますので(民法1013条)、遺言執行者がいる場合には、相続人らは遺言書と異なる内容の遺産分割協議はできないのではないか、という問題があるからです。
もっとも、遺言執行者がいる場合でも、以下のような場合には少なくとも遺産分割協議は有効となると考えられております。
(1)遺言執行者が遺言書と異なる内容の遺産分割協議について同意、追認した場合
(2)遺言の内容が特定の財産の遺贈(特定遺贈)である場合
受遺者は特定遺贈を放棄することができ、その結果、遺贈の対象となった財産は相続人ら共有の遺産に復帰し、改めて相続人らの遺産分割協議の対象となるためです。
これら以外の場合は、遺産分割協議が無効になるおそれがあることにご注意ください。
迷ったら、当事務所の法律相談にお申込みを!